オオカミの皮を被った羊『チリンの鈴』

やなせたかし作の同名の絵本が原作のアニメ映画。
U-NEXTで見つけて、羊とオオカミの交流を描いた話ということで
興味を持って視聴📺️
主人公のチリンはか弱い羊🐑の男の子。
ある日、母親をオオカミ🐺のウォーに殺されたチリンは、
どう言うわけかそのウォーに弟子入りを志願。
オオカミのように強くなって、本人に復讐するために……
という、『ダイの大冒険』を思い出させるあらすじ。

しかし、やなせ氏の作品は今でこそ闇が目立たない『アンパンマン』でさえ、
戦時中のひもじい経験が生んだだけあって
最初期の絵本はシビアな作風だったように、
本作もかわいいキャラとは裏腹にハートフルではなく
とことんハートをフルボッコ💔にしてくる。
めでたしめでたし♪」な話を期待していたらガッカリすること請け合い😅

要は復讐の虚しさがテーマなんだけど、
管理人としては「やられたらやり返したくなるのは当然」だし、
創作物だからこそそれが報われてほしいと思ってるから、
こういう話は好きじゃないんだよね。
むしろ『ストーンオーシャン』のように
復讐すれば心がスッキリする」ということを伝えた話の方が
共感できるし娯楽性を感じるものだけど。

でも、従軍経験者であった原作者は、
精々いじめられっ子だっただけの管理人よりも
よっぽど復讐心に駆られた経験があるはず。
戦争で弟を22歳の若さで亡くしていることも有名。
しかし、それでも彼は人間同士で殺し合わず、
助け合おうと戦争反対を訴えていた。

原作者の背景を知れば、
『チリン』もこの内容になることには納得できるかもしれない。

……が、この記事にコメントしてくださった方の情報で
やなせ氏がオオカミに対して抱いていた印象を知った。
なるほど、アンパンマンにも「アンパンマンDB」というサイトを見れば分かるように
実際の生態に則ったオオカミキャラがいない訳だ。
オオカミはあくまで肉食獣、肉食獣が肉を食べるのは当然
ということは踏まえていても、
ウォーの恐ろしい外見と言い、成長後のチリンの風貌と言い、
本作もオオカミに対する偏見が前提になっているせいで、
絵や音楽が良かろうが素直に褒められないのが本音だ。
実在する動物を描くのなら、きちんとその生態を調べてほしいね。

でも最も恐ろしいのは、インターネットが普及した2000年以降も
オオカミを童話のイメージで悪者にした話が作られていることかも……
皆がそうだから」「昔からそうだから」に拘る
日本人の悪みが出ていると言ったら言いすぎだろうけど、
動物好きとしては許せないしいい加減止めてくれ!と愚痴らせて😅
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2 Comments

ツキカゲ

R・チョロさん、こんばんは。この話は、原作絵本だけを読んだ事がありますが「嫌われ者のウォー」という文と「ウォーは悪者の一匹狼」として描かれていました。

かなり昔に読んだ本(題名は忘れた)で、やなせたかし氏は「"シートン動物記"の狼王ロボは家畜を襲った大悪党だったわけです。しかし何故かアメリカでは、ロボは素晴らしい狼と言われているのです」という事を書いてました。
しかしアンパンマンでは「本当の正義とは飢えている人に食べ物を与える事」「絶対的な悪は存在しない」と言っていたので、狼王ロボでの彼の発言はアンパンマンの時と矛盾してると感じます。

私が狼王ロボで知った事は「人間が開拓で狼🐺の食料を奪ったから、狼🐺達は仕方なく家畜を襲った」「人間は家畜を襲う狼🐺を全滅させる為に懸賞金を出したり、狼🐺の子供まで殺した」という事なので、やなせ氏は「ロボは飢えに苦しむ仲間を守る為に人間と戦った正義のヒーロー」と書くべきだと思いました。

「チリンの鈴」のウォー🐺が羊🐑牧場を襲うのも、生きる為だと思うのすが、この作品はそういう狼🐺を凶暴というイメージで描いているのが嫌ですね。(童話のイメージで描いてるから)

又「羊🐑は実際の生態系に忠実(チリン🐑には両親がいて、群れで暮らしている)なのに、狼🐺はそうでない(ウォー🐺は一匹狼で、牧場の多くの羊🐑を全滅させている)」のが、違和感を感じます。

原作絵本のウォー🐺の容姿は「左目に傷(隻眼ではない)」ですが、体が黒いので「映画あらしのよるに」の狼を連想する位、悪者風な印象なのが嫌でした。

ネットでは「ウォーという名前は、戦争を意味する"war"から来てるのでは?」という声があります。又、変わり果てたチリン🐑の姿を「ウォー🐺の様な化け物」みたいに描かれてましたが、個人的には「悪魔👿の様なヤギ🐐」にしか見えません。

又、この話は「狼🐺を化け物扱いし、ただ凶暴で悪い生き物で描いている」「狼🐺は一匹で生きるのが"本当の狼の生き方"で、群れを作らない」みたいな描き方をしているのが嫌です。(読者が狼に対して間違った見方をしそうだから)

「復讐の虚しさ」をテーマにするにしても、狼🐺と羊🐑でやらなくても良いと思ったし、やはり狼🐺の食性を悪の様に描くのは、従来の童話と大して変わらないとも感じました。

何より、作者のやなせ氏が従軍&戦争経験者で「1番辛いのは食べられない事」と言ってる方なので、そういう人が肉食の狼🐺を悪の様に描いて欲しくなかったですね。

R・チョロさんが仰る様に「狼はあくまで肉食獣、肉食獣が肉を食べるのは当然」という描き方にした方が、やなせ氏の「本当の正義とは、飢えている人に食べ物を与える事」という主張が伝わると思います。

アンパンマンでは「満月🌕を見るとオオカミおばけに変身して暴れる」という、ちびおおかみがいますが「いつもひとりぼっち」という設定なので、やなせ氏は狼🐺を「1匹で暮らす動物」という、実際の狼🐺とは違うイメージで描いてる印象が強いですね。

因みに絵本原作の「やさしいライオン🦁」に登場するライオン🦁は凄く良いキャラで描かれてるので、やなせ氏は絵本で「ライオン🦁=善、狼🐺=悪」として描いてるので、どうも彼の作風は好きになれません。

又、彼は「手のひらを太陽に」の作詞もされていますが、その歌詞に「みんなみんな 生きているんだ 友達なんだ」とあるので、狼🐺も良いイメージで描いて欲しかったですね。
(又、狼🐺がメインの話になってしまい、申し訳ありません🙇)




  • 2024/04/11 (Thu) 00:55
  • REPLY
R・チョロ

R・チョロ

Re: タイトルなし

原作読者の視点の情報とご意見、ありがとうございます!

そうですか……絵本ではウォーをそこまで悪く言っていたのですね。
この劇場版ではあまり気にならなかったのですが……
狼王ロボへのコメントも初めて知りましたが、
どうも私もやなせたかし氏とは価値観が合わないようです。

成長したチリンの姿は確かに怖すぎます。
何もオオカミに弟子入りしただけでああなるはずがないし、
オオカミを格好良い動物ではなく恐ろしい動物して描いているからでしょうね。
そのせいであの結末になり、たとえメッセージ性があろうと
こんなの見なきゃ良かった」と思いましたから……😅
大人でもそうだったので、ターゲットの子供にはなおさら難しいテーマでしょう。

また、この場合は殺されたチリンの母親にほとんど傷の描写がなく、
ウォーが食べるためなのか、ただ殺しただけなのか
分かりにくかったのも良くないと思います。
作中ではウォーは食物連鎖について語っていますが、
子供への配慮も必要とは言え最低限の傷の描写もなかったので、
オオカミがただ凶暴な動物と受け取られかねないでしょう。
そういう意味でも、本作はあまり子供に見てもらいたくはないですね。

「アンパンマンDB」というサイトには
アンパンマンのオオカミキャラが3人登録されていますが、
ちびおおかみは狼男がモチーフ、ゆきおおかみは悪役、
オオカビさんはカビを撒き散らすキャラクターで、
いずれも実際のオオカミの生態とは異なりますね。

やなせ氏は食べられないことの辛さを誰よりも知っているはずなのに、
オオカミに対する偏見が作品から伝わってくるのは残念でしたね。
いえいえ、全然大丈夫ですよ👍️